事業用賃貸借契約書
事業用賃貸借契約書の一般的な条文は以下の通りです。各条文ごとに説明しているリンクがありますので、気になる文面はクリックして下さい。 ※ビルにより契約書の形式や文章内容が異なりますので、必ず契約時の契約書で該当する箇所をご確認下さい。
事業用賃貸借契約書 標記
名称 | 物件の名称です。オフィスビルの場合はビル名になります。 |
階数 | 建物の階数や号数の表示です。 |
所在地(所在地表示) | 事務所がある所在地を記したものです。一般的に使用されている住所表示です。 |
所在地(登記簿) | 建物履歴事項全部証明書に記載された所在地標記です。法務局に届出されている住所になります。 |
種類 | 一般的に事務所や店舗、住居、倉庫、車庫、旅館等と表示され、その建物の用途が記載されます。 |
使用目的 | 物件の使用目的の記載です。主には事務所(IT関係)等業種を記載しています。 |
構造・規模 | 建物の構造(鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、木造等や地下・地上の階数を記載します。 |
契約面積 | 賃貸する事務所の面積(㎡・坪)の記載です。 |
契約期間 | 普通賃貸借契約の場合、通常2年や3年等の更新までの期間を指します。 |
賃料 | 賃貸する事務所の賃料の記載です。消費税の記載もあります。 |
管理・共益費 | 賃貸する事務所の管理費や共益費の記載です。共益費は消費税の記載もあります。 |
附属施設料・その他費用 | 賃料・共益費等の他、物件によってはゴミ処理費用や看板掲出料等が必要な場合もあるため、それらを記載する欄になります。 |
火災保険料 | 契約時にご加入頂く火災保険になります。 |
保証金・敷金 | 契約時に必要な保証金です。保証金や敷金は賃料滞納時の補償や退去時に原状回復がされない場合の保証分です。 |
礼金 | 礼金とは返還されない金銭です。最近では少なくなりましたが、保証金や敷金との関係で一部取る物件もあります。事務所を賃貸する際の御礼金の意味合いや賃料等支払いの前支払い分としての位置づけになります。 ※事務所の場合、貸主も借主も事業としての関係性があり、居住権も発生しないため、礼金を支払うことに合意した場合は有効となります。 |
更新料 | 契約期間経過後、継続して貸事務所を利用する場合支払う料金が更新料です。更新料の設定がある場合、更新料を支払う事で物件を継続して利用する事ができます。 ※事務所の場合、貸主も借主も事業としての関係性があり、居住権も発生しないため、更新料を支払うことに合意した場合は有効となります。 |
更新事務手数料 | 更新料とは別に、管理会社等が契約継続手続きの際に書類を交わす等の作業があり、その際に支払う金銭が更新事務手数料です。一般的には1万~2万円程度と言われています。 |
保証委託料 | 保証金等とは別に、第三者により賃料の支払いを立て替え、賃料債務を貸主に代わり、入居者に請求する会社を「賃料保証会社」といいます。この賃料保証会社との契約の際に、別途保証委託料が必要になります。料金は会社や審査状況により異なります。 |
賃料等支払い方法 | 通常は銀行振り込みのため、貸主側の指定する銀行口座が記載されます。場合により自動引き落としできる物件もあり、その場合は別途手続きを行うことになります。 |
支払期限(期日) | 賃料等の支払い期日を記載しています。賃料等は通常、翌月分を前月の指定日(25日や末日等)までに支払うことになります。 |
解約予告期間 | 賃貸していた貸事務所を撤退や移転等で退去することになったときに必要な解約予告期間です。3ヶ月や6ヶ月等オフィスビルにより異なります。 |
事業用賃貸借契約書 契約条項
いよいよ本文です。貸事務所を借りる場合、ちょっとしたことでトラブルになることもありますので、賃貸借契約の際はしっかりと目を通してください。不明な点があれば、ここを参考にしながら理解することが重要です。 以下、条文になりますが、「甲」とは賃貸人(貸事務所を貸す人)で、「乙」とは賃借人(貸事務所を借りる人)、「丙」とは連帯保証人で賃借人と同等の義務を追う人になります。
第1条
(目的物) 甲は、乙に対し標記の物件(以下「本物件」という)を賃貸する。
第2条
(契約期間及び更新) 契約期間は、標記のとおりとする。 2 甲及び乙は、協議のうえ本契約を更新することができる。 3 本契約が更新される場合には、乙は甲に対し標記の更新料を支払わなければならない。
第3条
(使用目的) 乙は、本物件を表記の目的として使用しなければならない。
2 乙は、本物件に居住してはならない。第4条
(賃料)乙は、標記のとおり甲に支払わなければならない。 2 1ヶ月に満たない期間の賃料は、日割り計算した額とする。 3 乙は、解約申入れをした場合でも、解約の効力が発生する日までの賃料を支払わなければならない。 4 甲及び乙は、次の各号のいずれかに該当する場合には、契約期間中であっても協議の上、賃料を改定することができる。 ①土地または建物に対する租税その他の負担の増減により賃料が不相当となった場合 ②近傍同種の建物の賃料に比較して賃料が不相当となった場合
第5条
(管理・共益費等)乙は管理・共益費及び付属施設料ならびに雑費(以下「管理・共益費等」という)を標記のとおり甲に支払わなければならない。 2 1ヶ月に満たない期間の管理・共益費等は、日割り計算した額とする。 3 乙は、解約の申入れをした場合でも、解約の効力が発生する日までの管理・共益費等を支払わなければならない。 4 甲及び乙は、管理・共益費等が前条第4項に準じる事由により不相当となったときは、改定することができる。 5 乙は、次の各号に定める料金等を負担しなければならない。 ①電気・ガス・水道及び電話その他の乙専用設備にかかる使用料金 ②衛生・防火・防犯その他乙の負担すべき費用 ③本契約締結時に加入する火災保険等料金
第6条
(敷金・保証金)乙は、本契約から生じる債務の担保として、標記に記載する保証金を甲に預け入れるものとする。 2 乙は、本物件を明け渡すまでの間、保証金をもって賃料、共益費その他の債務と相殺することができない。 3 甲はこの契約の解除又は終了により、乙が当該賃貸物件についてこの契約に定める明渡しその他の義務を安全に履行したことを甲が認めた場合には、遅滞なく第1項の保証金より償却費として解約時賃料の○ヶ月分相当額を差引き、返還するものとする。 4 甲は、本物件の明渡しがあったときは、遅滞なく、賃料の滞納その他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には当該債務の額を差し引いたその残額を、無利息で、乙に返還しなければならない。 5 前項の規定により乙の債務額を差し引くときは、甲は、保証金の返還とあわせて債務の額の内訳を明示しなければならない。
第7条
(反社会的勢力の排除)甲及び乙は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約する。 ①自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という)ではないこと。 ②自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者を言う)が反社会的勢力ではないこと。 ③反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないこと。 ③自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。 ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為 イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
第8条
(使用の制限)乙は、本物件の使用に当たり、次に掲げる行為を行ってはならない。 ①本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動拠点に供すること。 ②本物件又は本物件の周辺において、著しく粗野若しくは乱暴な言動を行い、又は威勢を示すことにより、付近の住民又は通行人に不安を覚えさせること。 ③本物件に反社会的勢力を同居させ、又は反復継続して反社会的勢力を出入りさせること。
2 乙は甲の書面による承諾を得ることなく本物件の全部または一部につき賃貸借を譲渡しまたは転貸してはならない。 3 乙は本物件において危険な行為・騒音・悪臭の発生その他近隣の共同生活を乱す行為や衛生上有害となる行為ならびに本物件に損害を及ぼす行為をしてはならない。第9条
(乙の管理義務)乙は、本物件を善良なる管理者の注意をもって使用する義務を負う。 2 乙は、管理規約・使用細則等を遵守するとともに、甲が本物件管理上必要な事項を乙に通知した場合、その事項を遵守しなければならない。
第10条
(通知義務)乙は、次の各号のいずれかに該当する場合には、甲または甲指定の管理人にすみやかに通知しなければならない。 ①乙の氏名・同居人・緊急時の連絡先等に変更がある場合 ②乙の連帯保証人に住所・氏名・電話番号等の変更がある場合 ③乙が本物件を長期間不在にする場合の行先・期間・緊急連絡先等 ④本物件に変更が生じまたは甲の負担において修繕を要する箇所が生じた場合 ⑤乙が法人の場合で標記の記載事項に変更があった場合
第11条
(修繕義務等)甲は、本物件の修繕を負担する。甲がその修繕を行う場合は、甲はあらかじめその旨を乙に通知しなければならない。この場合において、乙は正当な理由がある場合を除き当該修繕の実施を拒否することができない。 2 乙の故意または過失による修繕については、乙はその費用を負担しなければならない。 3 乙は、軽微な修繕については甲の承諾なく行うことができる。
第12条
(解除)乙が次の各号の一つに該当する場合、甲は相当の期間を定めて乙に催告し本契約を解除することができる。 ①本物件を甲の承諾なくして1ヶ月以上使用しないとき ②解散・破産・民事再生・会社整理等の申立てがあったとき ③銀行の取引停止または差押・仮差押・仮処分・強制執行等を受けたとき ④主務官庁から営業許可の取消または停止の処分を受けたとき ⑤本契約またはこれらの付随して締結した契約の条項の一つに違反したとき 2 乙が次の各号の一つに該当する場合、甲はなんらの催告を要せず即時本契約を解除することができる。 ①乙またはその同居人に暴力団若しくは極左・極右団体の構成員またはこれらの支配下にあるものを本物件に反復継続して出入りさせたり近隣居住者の平穏を害するおそれのある行為があった場合 ②乙が本物件を暴力団若しくは極左・極右団体の事務所等として使用した場合、あるいは第三者に同様の目的で使用する事を許諾した場合 3 甲または乙の一方について、次のいずれかに該当した場合には、その相手方は、何らの催告も要せずして、本契約を解除することができる。 ①第7条の確約に反する事実が判明したとき。 ②契約締結後に自ら又は役員が反社会的勢力に該当したとき。 4 甲は、乙が第8条第1項第1号から第3号に掲げる行為を行った場合は、何らの催告も要せずして、本契約を解除する事ができる。
第13条
(中途解約)乙は、何らの事由がなくても○ヶ月以上前の予告期間をもって甲に対し書面で解約を申し入れることができる。この場合、予告期間の満了と同時に本契約は終了する。 2 前項の規定に関わらず、乙は○ヶ月分の賃料及び共益費相当額を甲に支払う事により、即時に本契約を解約することができる。
第14条
(明渡し)乙は、明渡日を事前に甲または甲指定の管理人あてに通知し、立会日を協議したうえ、本契約が終了するまでに本物件を明渡さなければならない。ただし、第12条の規定にもとづき本契約が解除された場合は、直ちに本物件を明渡さなければならない。 2 乙は、前項の規定において通常の使用にともない生じた本物件の損耗を除き乙の費用負担で本物件を原状回復しなければならない。 3 前項の規定にかかわらず乙が任意に原状回復をしない場合には、甲は乙の費用負担のもとに原状回復をすることができる。この場合、甲は原状回復工事費用等の内訳を乙に明示するものとする。 4 乙は、本物件の明渡しに際しては残存物をすべて処理し室内の清掃公共料金等の精算を済ませたうえ鍵等貸与されたものを返還するものとする。 5 乙は、甲に対して甲の同意を得て付加しまたは買い受けた造作については、買取りの請求は行わないものとする。
第15条
(立入り等)甲または甲指定の管理人は、本物件の防火・構造の保全その他管理上特に必要があるときは、あらかじめ乙の承諾を得て本物件に立ち入り点検し適宜な措置を講ずることができる。 2 前項の規定にかかわらず、甲または甲指定の管理人は、緊急に立ち入る必要がある場合においては、あらかじめ乙の承諾を得ることなく本物件に立ち入ることができる。ただし、甲は乙の不在時に立ち入ったときは、立ち入り後にすみやかにその旨を通知しなければならない。
第16条
(解除通知等の到達)甲または乙が相手方に対し本契約解除等通知をなすにあたり緊急時の連絡先あるいは変更届出に宛て通知書等を発送したにもかかわらず相手方の受領拒絶・所在不明等で到達しなかった場合は、通常到達すべきときにその意思表示は相手方に到達したものとする。
第17条
(損害賠償)乙が賃料・管理費等の支払いを遅滞したときは、年14.6%の割合による遅延損害金を支払わねばならない。 2 乙は、本契約が終了したにもかかわらず(解除された場合を含む)本物件の明渡しを遅延したときは明渡し完了の日まで賃料の倍額に相当する損害金を支払わなければならない。 3 乙は、乙と他の居住者その他の第三者との間で生じた本物件にかかる係争については、その当事者間で問題を解決するものとし、甲はこれに関与しないものとする。
第18条
(立退料の請求禁止)本契約が解除または消滅した場合は、乙は甲に対して立退料・移転料・損害賠償その他名目のいかんを問わず一切の請求をしないものとする。ただし、本契約が甲の都合により解約する場合には甲は、甲乙協議のうえ乙に対し相当の金員を支払う。
第19条
(連帯保証人の責任)丙は、乙と連帯して仮に丙が更新契約書に署名捺印していなくてもまた法定更新された場合でも本契約が存続する限り本契約から生じる乙の一切の債務を保証するものとする。 2 乙は、連帯保証人が欠けたときまたは現在の連帯保証人が適当でないと甲が認めるときは、甲の請求に従い直ちに甲が承諾する者に連帯保証人を変更しなければならない。
第20条
(協議)甲及び乙は本契約に定めがない事項あるいは条項の解釈について疑義が生じた場合、民法その他の法令および慣習に従い誠意をもって協議し解決するものとする。
第21条
(管轄裁判所)本契約に関する訴訟の管轄裁判所は、本物件所在地の管轄裁判所と定める。
第22条
(特約事項)乙は、自己の営業に伴い諸官庁及び消防署等より指示が有る場合はその指示に従うものとする。 尚、甲からそれらに類する指示が有る場合も同様とする。 2 乙は、本物件建物が、京都市屋外広告物規制条例及び特定施設(エアコン等)設置に伴う規制条例がある旨を確認し本契約を締結するものとする。 3 乙の内装工事に伴い、乙若しくは乙の指定する内装業者は、平面図面・工程表・看板イメージ等を甲に提出の上、甲の承諾を受けなければ工事を開始することが出来ないものとする。 4 乙の行う内装工事は、建築基準法・消防法・京都市条例等の基準を満たし、且つ適法でなければならない。
※番外編1※
(定期建物賃貸借契約の場合) 本契約は、借地借家法(良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法平成11年法第153号による改正後のもの、以下(法)という)第38条に規定する定期建物賃貸借であり、法第26条(建物賃貸借契約の更新等)、法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)および法第29条第1項(建物賃貸借の期間)の適用はないものとする。 2 本契約は要目表に記載した期間満了に賃貸借は終了する。従って、期間満了日の翌日を始期とする新たな賃貸借契約(以下、「再契約」という)を締結する場合を除き、期間満了日までに表記の貸室を原状回復し、明け渡さなければならない。 3 甲は契約期間満了の1年前から6ケ月前までの間に、乙に対して、期間満了により本契約が終了する旨を書面で通知するものとする。だだし、甲が当該期間中に賃貸借が終了する旨の通知をしなかった場合は、甲が乙に対してその旨の通知を行った日より6ケ月を経過した日をもって賃貸借は終了する。 ※定期建物賃貸借契約とは契約期間の定めがある契約の種類です。そのため、更新がなく、契約が「終了」します。定期建物賃貸借契約の場合は、上記の条文が追加されます。
※番外編2※
(抵当権の設定がされている場合)抵当権及び根抵当権の設定が本物件についている場合には、競売によって本物件を取得した競落人には賃借権を対抗することはできない。競落人より明け渡しを求められた場合には、乙は所有権移転の有った日から6ヶ月以内に明け渡しをしなければならない。また、預け入れた敷金や保証金の返還を競落人に求めることはできず、契約時の甲以外に返還を求めることはできない。 ※通常、契約書には記載しません(重要事項にて説明)が、重要な内容ですので、「番外編」として説明します。
不明な点があれば、なんなりとご相談下さい。
契約書と思うとかなり細かく、わかりにくい、というイメージがあるかも知れませんが、上記の説明のように噛み砕いてみてみるとそんなに難しいことではありません。
不明なまま、わからないままだといざ入居したあとにトラブルになる可能性もあるので、事前にしっかりと読むようにして下さい。
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